一般社団法人 若草プロジェクト 代表理事 今福章二
~信頼できる大人をめざして~
女子少年院在院者のうち、約7割が保護者等からの被虐待経験を持ち、9割超が小児期逆境体験(Adverse Childhood Experiences: ACE)あり、という統計が発表されました(令和5年版犯罪白書)。長らく更生保護の畑にいた私にとって、とてもショッキングな現実です。いずれも男子少年院在院者よりも高く、逆境体験も複数有している可能性があり、トラウマ(心的外傷)との関連が懸念されています。しかも、少年院在院者に限らず、このような過酷さと地続きの現実の下に置かれた少女・若い女性が相当数にのぼっています。
少女たちが抱えている生きづらさは、いずれも根が深く、多様であり、そこにつけ込む大人の存在が状況を悪化させている現実があるなど、一筋縄ではいきません。そこから脱出する苦しさを一番感じているのは、少女たち本人でしょう。
少女たちが直面する社会の壁は、まだまだ冷たく分厚い。そこに少しでも風穴を開けようと若草プロジェクトが立ち上がりました。これまで引っ張ってくださった瀬戸内寂聴先生や大谷恭子前代表理事は既に他界されましたが、生きづらさを本人の代わりに解決するのではなく、そこに寄り添う「信頼できる大人」になることを目指された、お二人の思いをしっかりと引き継いでまいりたいと思います。たとえ大海にそそぐ一滴だとしても、少女たち一人ひとりの命の尊さを大切にしながら、「つなぐ」「まなぶ」「ひろめる」活動を愚直に進めていきます。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。
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